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ブレーキに関する質問

ブレーキディスクを変えると「効き方(フィーリング)」が変わります。
ブレーキの効きに影響する要素は沢山ありますが、パッドが接触するアウター部分の素材や形状、厚みが変化をもたらす大きな要素となります。インナーのデザインやアウターとインナーの締結方法も影響します。
これらの要素が積み重なってブレーキの「効き方」に変化をもたらします。ブレーキフィーリングの感じ方は人によって千差万別です。「今までより効きが良くなった」と感じる人もいれば、「コントロールし易くなった」という人もいます。ブレーキディスク交換の効果は殆どの人に体感していただけると思います。

ホイールに取り付ける部分インナーと、パッドが接触する部分アウターを分割し、特殊なピンによって締結れている2ピース構造のディスクをフローティングディスクと呼びます。
英語の「Float」は「浮く」という意味がありますが、ココではピンをカシメによって拘束し、固定されている状態でもフローティングディスクと呼びます。レース用のカチャカチャ動くタイプだけがフローティングディスクではありません。

ブレーキディスクはブレーキへの負荷が高いシチュエーション(サーキット走行やレースなど)では、公道走行の2倍以上の温度まで上昇することがあります。この時ブレーキパッドとの摩擦で作用しているブレーキディスクに熱膨張が発生します。この膨張をフローティングピン付近のクリアランスによって吸収し、ブレーキディスクが冷えていく際に極力熱ひずみが発生しない様にする為にフローティングディスクがあります。
ソリッドディスクはインナーとアウターが分かれていない為、パッドが接触する部分がホイールに直接取付られている状態になります。ソリッドディスクをブレーキ負荷が高いシチュエーションで使用した場合、同じように熱膨張が発生します。この時、取り付け部分がホイールに固定されており、熱膨張による寸法変化を吸収出来る部分が無い為、熱ひずみが発生し易くなります。一度ひずんでしまったディスクは再使用できません
この様な性能差がある為、昨今スポーツバイクにはほとんどノーマルでフローティングディスクが採用されています。

フルフローティングはアウターの熱膨張を吸収する為のクリアランス部分をフローティングピンによって締結する際に、テンションをかけて拘束する部材(ウェーブワッシャー)が無く、常にクリアランス分だけ可動出来る構造になっています。これにより熱膨張の吸収がよりスムーズになり、耐ひずみ性能が高くなります。またストレスなく可動出来る状態なので引きずりに対しても有効です。しかし可動できるという事はブレーキをかける度にインナー、アウター、ピンがぶつかって叩かれます。これによりインナーとピンの摩耗が早くなります。
セミフローティングはフローティングピンを締結する際にテンションがかかる部材(ウェーブワッシャー)によって拘束力を高めています。フローティングディスクとしての性能はフルフローティングに劣りますが、その分インナーやピンが摩耗しにくくなります。熱膨張がブレーキトラブルになるほどのシチュエーションは街乗りではほとんどありません。街乗りがメインのユーザーにはセミフローティングの方がメリットがあります。

出来るだけパッドも一緒に交換してください。
ディスクとパッドの関係は切っても切り離す事はできません。お互いが摩耗しながら作用する部品なので馴染みはとても重要です。ディスクを新品に替えた時に、数千、数万キロ走行した中古パッド使用すると、中古パッドはそれまで使っていたディスクの減り方に馴染んだ摩耗をしている為、新品ディスクの当たりが出にくくなります。
中古パッドを採用した場合でも使用距離や時間を伸ばすことで当たりが付きやがて効く様になりますが、馴染み方が均等で無い事で、使用し続けた先でブレーキトラブルに繋がる可能性が高くなります。
新品ディスクのアウターは仕上げ研磨された高精度な状態です。新品パッドと一緒に使い始める事で良く馴染み、先々ブレーキトラブルが出にくい組み合わせになります。

1枚のパッドに上下左右の辺があります。このうち1辺、ディスク回転方向の入り部分の面取りはわずかではありますがブレーキ鳴きに有効であると考えられています。
それ以外の3辺で有効な面取りもあります。それはディスクの摩耗が進み、ディスクがアルファベットHの様な断面に摩耗している時にパッドを交換した場合、外径方向に対して上下の面取りは有効であり、これによりパッドの当たりが出やすくなりパッドの変摩耗も防げます。
最後に外径方向の下側の面取りはホイール脱着を多少スムーズになる効果もあります。耐久レース用パッドは初めから面取り加工されているモノもあります。
いずれにせよ極端な面取りはディスクとパッドの接触面積を減らす事になりますので、ディスクの摩耗状態やブレーキ回りの状態に合わせた面取りが必要となります。

ココでは現代の技術で作られたステンレス製ディスクとシンタードパッドの場合。と限定してお話します。ブレーキディスクメーカーとしてはサンドペーパーで磨くはNGです。
そもそも「ペーパーで磨くと良い。」というのはどこからきたのでしょうか?恐らくそれはそれまで使用していたパッドの被膜をペーパーで磨いて落とす事で、新しいパッドの性能が発揮される。と言うところからでは無いかと思われます。
確かにディスクの表面には「シンタード被膜」といわれる被膜が定着します。これは色んな材料を混ぜ合わせて焼き固められたブレーキパッドの成分が、摩擦による高温下でディスク表面に定着し、ディスクへの攻撃性を低くしたり、摩擦をコントロールしたりしています。
シンタードパッドにとって重要なシンタード被膜ですが、これはペーパーで磨かないと落とせないモノでしょうか?そんなことはありません。新しいパッドに交換した際、きちんと慣らしを行う事で新しいパッド本来の性能が発揮されます。
ディスクとパッドは摩擦によって互いを消耗させながら作用しています。慣らしに多少時間がかかる事はありますが、新しいパッドが取付られても同じ様に機能します。
ディスクとパッドの馴染みはQ5でも説明しましたがとても重要です。その馴染みは人間の手によって磨かれる様な精度では再現できません。

サンスターのレーシングブレーキパッドとの組わせはオススメです。しかしレース用ブレーキパッドなので街乗りで使う場合は別のパッドを選びましょう。
街乗りメインで使用する場合、純正パッド、またはよく聞く銘柄のパッドがおススメです。純正パッドがおススメ?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、純正パッドは車両メーカーの厳しいテストをクリアし、その車両コンセプトに合わせたブレーキフィーリングが再現されています。ほとんどのビッグバイクはシンタードパッドが標準で装着されています。この場合レジンパッドでは無くシンタードパッドを選びましょう。
またインターネット通販などで安価なパッドが販売されている事がありますが、これには要注意です。ブレーキパッドの製造ノウハウは特殊です。安価な物の中にはディスクへの攻撃性が高いモノや、パッドの異常摩耗などのブレーキトラブルが発生する可能性があります。純正パッドか有名メーカーのパッドから選びましょう。
ブレーキフィーリングを大きく左右するブレーキパッドの良し悪しは、ライダーによって異なります。色んなメーカーのパッドを使い、自分の好みにあったパッドを探してみましょう。

継続使用できるかどうかの判断はディスクを検査する必要がありますが、ブレーキディスクは制動トルク(主に回転方向)に耐えるだけの強度や剛性は確保されていますが、軸方向(ディスク取付方向)からの力にはあまり強くありません。
ディスクを取付したままの状態でホイールを地面に置いたり、壁に立て掛けたホイールがズレ落ちでディスクが地面や物にぶつかってしまったりすると、ディスクが歪んでしまうことがあります。特にフローティングディスクでインナーがアルミで作られているディスクは注意が必要です。歪んだディスクを使用するとジャダーや引きずりなどブレーキトラブルの原因になります。
一度歪んでしまったディスクを修正することはできません。ディスクの取り扱いには十分注意してください。

ブレーキディスクはブレーキパッドとの摩擦で作用します。ブレーキの性能を語る上でキモになるのは「温度」です。
通常車両メーカーが一般公道で想定するブレーキディスクの温度は~350℃程度です。ステンレス製のブレーキディスクが使用されるプロレースにおける温度領域は300~600℃程度です。(瞬間的には600℃以上にもなります)
一般公道とサーキット(レースなど)ではブレーキディスクの使用温度領域がかなり違う事がお分かりいただけると思います。レース用ブレーキパッドなどは高い温度領域で性能が発揮される様に設計されています。
ディスクはパッドとは少し求められる性能が異なります。ディスクは500℃を超える様な過酷な温度領域でも適切な摩擦を発生させ、歪むことなく継続使用できなければいけませんし、雨の中走行しても適切な摩擦が発生させなければなりません。
ディスクは幅広い使用環境の中で、常に安定したブレーキフィーリングを再現出来るディスクが良いブレーキディスクと言えます。そういった意味では、普段の愛車の乗り方でブレーキを使うことで、サンスターディスクの性能を体感していると言えます。
無理にブレーキを使うことはせず、ノーマルディスクよりも上質なブレーキフィーリングを普段から体感していただき、ブレーキングを楽しんでいただければ幸いです。