パッド交換時にディスク表面をサンドペーパーで磨くと良い。と聞きました。本当でしょうか?

ココでは現代の技術で作られたステンレス製ディスクとシンタードパッドの場合。と限定してお話します。ブレーキディスクメーカーとしてはサンドペーパーで磨くは基本NGです。
そもそも「ペーパーで磨くと良い。」というのはどこからきたのでしょうか?恐らくそれはそれまで使用していたパッドの被膜をペーパーで磨いて落とす事で、新しいパッドの性能が発揮される。と言うところからでは無いかと思われます。
確かにディスクの表面には「シンタード被膜」といわれる被膜が定着します。これは色んな材料を混ぜ合わせて焼き固められたブレーキパッドの成分が、摩擦による高温下でディスク表面に定着し、ディスクへの攻撃性を低くしたりして摩擦をコントロールしたりしています。
シンタードパッドにとって重要なシンタード被膜ですが、これはペーパーで磨かないと落とせないモノでしょうか?そんなことはありません。新しいパッドに交換した際、きちんと慣らしを行う事で新しいパッド本来の性能が発揮されます。
ディスクとパッドは摩擦によって互いを消耗させながら作用しています。慣らしに多少時間がかかる事はありますが、新しいパッドが取付られても同じ様に機能します。
ディスクとパッドの馴染みはQ5でも説明しましたがとても重要です。その馴染みは人間の手によって磨かれる様な精度では再現できません。
しかし例外はあります。ブレーキジャダーの原因となるヒートスポットなどを除去を目的とし、レースなどの現場において急遽対応しなければならない時などは、十分注意を払いながらペーパーがけを行う事もあります。